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経営科学専攻博士課程社会人院生の研究(と徒然の)日誌

京都大学経営管理大学院博士後期課程に在学中の社会人院生のマーケティングetcと二足のわらじの院生生活日誌

「経営科学専攻」について〜京大の経営管理大学院は面白い。

研究生活の色々 京大経営管理大学院

今回、通うことになった「京都大学大学院経営科学専攻(博士後期課程)」について少し説明を。

オリエンテーションでの先生方のお話によれば、最初の構想から4年かかっての設置にだったらしい。これが早いのかどうか、アカデミックな世界のスピードで言えばこれでも早いのかもしれないけれど、いずれにせよ、それだけの準備期間をもって作られたコースである。

これはどこのMBAでも今後起きうる話だと思うが、「教える側の枯渇問題」は大きいように思う。M.S.(修士)と違い、MBAとなると理論的な部分のみならずより、applied research ケーススタディ実学的な部分を学生は求めるだろうから、ずっと学級肌にいた先生方だけでなく、実務家出身者が必要になってくる。しかしながら、欧米と比べて、日本では実務の世界とアカデミックの世界の橋渡しをするような「社会人博士」が圧倒的に少ないと言われる。いわゆる自然科学の世界においては、“論文博士”(正規の博士課程・博士後期課程を経て論文審査を通って取った博士号は“課程博士”という)のように研究者として務めながら博士号を取る人も多そうなのだが、こと経営学の世界においてはまだまだ少ないというのだ。

この欧米との違いというのは、欧米のMBAやそれに近しいスクールにおいては、DBAやPh.D.を持った研究者や実務者が実際に教えているのに対し、日本では「ゲスト講師」的に呼ばれる実務者や、あるいは「**教授」、「**講師」のようにトリッキーな名前で呼ばれる、博士号を持たない人々が講義を受け持つことがあるのみだ。後者が一概に悪いとは全く思わないが、アカデミックな世界では、やはり教え、学ぶためのフレームワークや一貫性がかっちりと存在するために、いわゆる体系だったことが教えられるため、やはりPh.DやDBAを持った“資格者”が教える必要が本当のところはある。日本の乱立するMBAに「ゲスト講師」として顔を出してみると、“社会人向け高等専門学校”といったほうがいいようなところもいくつかあり、これでいいのだろうか?と思うこともあった。これが今回、自分がPh.Dを持って、教える側にも回ろうと思った背景でもある。

さて、回り道をしたが、そのような状況があるために、4年の歳月を経て、社会に対して経営科学の知識で貢献し、かつ後学のために教壇にも立てるような人材育成機関として、経営管理大学院のこの博士後期課程は作られた。

 

以下がこの博士後期課程の概念図になる(大学院公式サイトより拝借)

 

http://www.gsm.kyoto-u.ac.jp/images/2014/2015/20150729_news.png

 

この博士後期課程は、京都大学経営管理教育部の中において、MBAの直接上にないところが特徴である。経営管理大学院の中の「経営管理専攻」がいわゆるMBAであり、「経営科学専攻」がPh.D.となる(京都大学において「経営管理大学院」というのは通称であって、正式には「京都大学経営管理教育部経営管理専攻」と「京都大学経営管理教育部経営科学専攻」である)。

この経営管理大学院の中には「経営研究センター」というのも存在し、そこでは非常に興味をそそるような、先端的な経営学・経営科学研究をしている先生方がいて、将来的にはある種のシンクタンクのようになるのじゃないかと思うくらいだ。

センター長の小林潔司教授が同サイトで説明されているように、このセンターは、

公的機関や企業の皆様との密な連携を図ることにより、真の経営課題を認識し、課題解決のための経営教育研究を推進いたします。本学の強みである文理融合領域に精通する種々の専門性をもつ教員が、課題解決に向けて研究を推進し、研究成果を社会還元するよう努力いたします。
ご挨拶 - 経営研究センター

という位置付けにあり、「課題解決のための経営教育研究」にフォーカスをしている。寄付講座や共同研究講座なども多くあるのはこのポジションによるものだろう。

さて、「経営科学専攻」。

経営研究センターや、デザインスクール、工学系の各講座なども含めて、学問の枠組みを超えた連携をも可能な構造を持っているが、この専攻においては3つの領域のどれかに専門として所属することになる。

■実践ファイナンス領域
<育成する具体的人物像>
・実際の金融証券市場のあり方を踏まえて、ファイナンス領域に関する海外市場の現状を熟知し、かつ実践的に分析でき、独自の発想に基づきファイナンス戦略を設計し実践できる人材。
・自身の戦略を海外の専門家に英語でロジカルに説明し、専門的な交渉解決能力を有する人材。

■サービス・イノベーション&デザイン領域
<育成する具体的人物像>
・サービス経済の進展に鑑み、企業・公的機関が直面する種々のサービス高付加価値化の課題に対して、グローバルな見地からサービス活動の観察・分析・評価の研究を行い、独自のサービス価値創造フレームワークの構築、検証を行える専門人材。
・海外のサービス経営専門家に対して、説明・説得を行える人材。さらに、様々な領域におけるビジネス展開において、デザインという視点でビジネスをリードし、イノベーションを起こせる専門人材。

■プロジェクトマネジメント領域
<育成する具体的人物像>
・国内外の大型プロジェクトに関わる資金調達、入札、契約管理、紛争解決、運用、維持管理のためのマネジメント技術に関する理論・実証分析をできる能力を有する人材。
・大型プロジェクトにおけるリスク構造とガバナンス構造を分析し、その結果を実施管理できる人材。
・国際的な観点で、対象国における法、慣習、社会・経済を学際的に理解し、プロジェクト契約を支える制度基盤を分析できる能力を有する人材。

 

自分の所属は、サービス・イノベーション&デザイン領域であり、マーケティングやビジネスモデル、サービス価値創造などといったのがコアになり、その関連領域も吸収していくようになると思う。

とりわけ、サービス・イノベーションというのは、日本が「おもてなし」やホスピタリティが豊かな国だというのであれば、そのフレームワークを抽出すること、またあるいはクリティカルな目で見て研究をすすめる必要がもっとある。

グローバル化するビジネスの中においては、グローバルのスタンダードと同時に、ローカルで起こっていること、それがグローバルにも適用可能なこと、例えばグローカルと呼ばれるような概念下で、日本のサービスのあり方が海外において(「カンバン方式」やパナソニックの製造モデルが、米国や中国で採用されたように)採用されることも出てくるかもしれず、特にサービス分野では日本的なやり方の海外輸出は理論的にも実践的にも今後ありうる「ソフトウェア」産業なのではないかとも思う。

自分自身は、主にB2Bマーケティングで起こっている変革をテーマにしようと考えているが、一方で、イノベーションやデザインという領域にも関わるが、ベンチャー企業における"pivot"というビジネスモデル/ビジネススキームの転換についても非常に関心を持っているので、今後の研究生活の中で、じっくりと自分がまとめるべき方向性についてまとめていきたいと思う。